HOMEパラスポーツインタビュー武蔵野市(武蔵野市教育委員会、武蔵野生涯学習振興事業団、武蔵野市スポーツ推進委員協議会、武蔵野千川福祉会)

パラスポーツインタビュー詳細

武蔵野市(武蔵野市教育委員会、武蔵野生涯学習振興事業団、武蔵野市スポーツ推進委員協議会、武蔵野千川福祉会)

武蔵野市(武蔵野市教育委員会、武蔵野生涯学習振興事業団、武蔵野市スポーツ推進委員協議会、武蔵野千川福祉会)の皆さんの写真

インタビューにご協力いただいた皆様

後列左から、

武蔵野生涯学習振興事業団

※武蔵野市総合体育館指定管理者

鈴木係長、矢澤主任、武蔵野市教育委員会 江波戸係長、中野主任、伊藤主任

前列左から、

武蔵野市スポーツ推進委員 和田委員、武蔵野千川福祉会 久保田主任、武蔵野市スポーツ推進委員協議会 櫻井会長

~もっと日常の中にスポーツを! 大きな輪へと広がり始めている武蔵野市~

今回は武蔵野総合体育館で実施している「障害者のためのスポーツ広場」を中心に、武蔵野市での取り組みについて、そのきっかけから実施に至るまでを支え続けている方々にインタビューをしました。

※発言者については敬称略としています。

▶障害者スポーツをイベントから日常へ

Q.武蔵野市として、障害者スポーツに取り組むことになったきっかけを教えてください。

A.<江波戸>武蔵野市は福祉のまちづくりに力を入れており、平成元年に建てられた武蔵野総合体育館(武蔵野市吉祥寺北町)は、フラットな造り・多目的トイレなど障害のある人に配慮した設備となっています。また、都心からのアクセスも良いため、設立当初から全日本規模の大会や、東京都障害者スポーツ大会などの会場として障害のある方々に利用されてきました。一方で近隣の障害のある利用者からは、「大会などのイベントでは多くの人の支えがあり参加しやすいが、自分が好きな時に好きなスポーツができる環境がほしい」という声があり、その声に応えていきたいということからスタートしました。

Q.事業として一番はじめにノルディックウォーキング教室をおこなったとのことですが、種目の選定理由やその経緯などを聞かせてください。

A.<鈴木>事業団として、障害のある方も含め、普段なかなか運動できない方を対象にした事業を行いたいと考えていました。総合・多摩の障害者スポーツセンターも見学し、専門的な施設がなくても取り組めること、また、武蔵野市には陸上競技場もあり用具の貸出により個人開放でも使用することも可能ということもあり、平成25年からノルディックウォーキング教室を実施、その後に水泳教室などの障害者スポーツ教室を開催してきました。運営には、スポーツ推進委員の方々に協力をお願いしました。

 <和田>それまで障害のある方と関わる機会が少なかったこともあり、障害のある方がどのようにスポーツをされるのか?講師はどのような指導をするのか?サポートへの不安もありましたが、私たちにとっても勉強する場でもあり、いまだに学び続けています。

 <櫻井>ノルディックウォーキング教室で担当した方が20代の女性だったので、こちらはオヤジさんだし始めはどう話そうかと戸惑いましたが、着ていたTシャツを褒めたら、一気に打ち解けて……やはり人と人だと感じる経験をしました。

▶意見交換会の実施~障害者スポーツをさらに普及するために~ 課題解決に向けた関係団体同士の連携

Q.意見交換会はどのような経緯から実施することになり、どのような課題が挙がったのでしょう?

A.<江波戸>障害者スポーツの普及をさらに進めるためには、福祉・スポーツの分野を問わない横断的な連携が必要と考え、平成29年7月に市内の関係団体を集めて実施しました。もともと福祉のまちとして力を入れてきた市に応え、意見交換会には福祉サービス提供事業所、福祉作業所、市立体育施設、地域スポーツクラブ、体育協会、スポーツ推進委員、市民社会福祉協議会、就労支援センター、市PTOTST協議会、都理学療法士協会、市オリンピック・パラリンピック担当、同障害者福祉課、同生涯学習スポーツ課など14団体21名が集まり、障害のある人がスポーツをする上で課題となることを出し合い、共有しました。

 <久保田>障害のある方々の日常を支援しているなかで、学校を卒業した時はスラっとしていたのに今は違うという方や昔の写真を見たらこんなに痩せてたの?と驚くくらい体形の変化が著しくて、障害のある方々の明らかな運動不足を感じていました。いろいろな活動があっても、施設の中で済んでしまうので、外へ出かけて身体を動かす機会があれば、身体だけでなく気持ちの面でもリフレッシュできる!でも、きっかけがありませんでした。

 <江波戸>他にも課題はありましたが、「できることからやっていこう」ということで、まずは来てもらう・見てもらうことから始めることになり、武蔵野総合体育館の見学会を企画し、教育委員会・事業団職員も同行して実施しました。

 <久保田>障害のある方にとって、まずは場や人に慣れることが大事だと思っていました。「モデルケースになれば」という思いで利用者とともに体育施設の見学にチャレンジしました。運動する場以外のところも見せてもらえたので、利用するにあたって職員間で気をつけることも事前に考えることができました。その後団体登録をして体育館の利用を始めました。

▶ユニバーサルスポーツ体験の実施~より多くの人に多くのスポーツの機会を~

Q.団体での体育館利用から、どのように事業へとつなげていったのでしょう?

A.<矢澤>団体での利用は料金面での負担が大きいので、個人利用料金が免除となるプラチナカード(障害者手帳等の提示で発行・個人利用料免除)の活用で料金面での負担を軽減することができないかと考えました。

 <江波戸>市としても、もっと気軽に使っていただきたい!との想いから、総合体育館の既存事業である個人開放の時間を活用して障害者スポーツを取り入れることを新たに企画し、平成30年3月から障害のある方もない方も一緒に楽しく体を動かせる「ユニバーサルスポーツ体験」を全4回試行実施しました。自由来所型で個人でも団体でも、障害の有無・種別に関係なく自由にスポーツを楽しむことができることをコンセプトとし、市や総合体育館にあるスポーツ用具を活用し、市職員と推進委員が運営や参加者との交流を行いました。個人開放ではプラチナカードが利用できるため、経済的負担も軽減できます。運営面で引き続きスポーツ推進委員に協力を依頼したことで、これまでの経験を発揮してもらうことができました。

 <久保田>障害のある人は家族や通所先の職員としか触れ合いがなく、団体の貸切利用とは異なる環境に参加する不安や他の方に迷惑をかけないかなど心配もありましたが、他者と関わる、集団の中でスポーツしている一面が新鮮でした。公共の場に行って周囲とうまくコミュニケーションをとっている姿をみて、心配もありましたが来て良かったと感じました。関わってくださっている方々には、感謝しかないです。

 <中野>他にも、「身体を動かしたい」と仕事を早退されて来てくださった方の話もうかがっていて、本当に嬉しく思っています。

▶障害者のためのスポーツ広場の実施と今後に向けて

Q.ユニバーサルスポーツ体験の実施から、障害者のためのスポーツ広場が生まれたということですね。事業を実施したことにより感じたことや課題などを聞かせてください。

A.<江波戸>ユニバーサルスポーツ体験の試行実施を踏まえて、事業の実施体制や運営方法を整え、平成31年4月から事業を本格実施することになりました。毎月1~2回体育館でいろいろなスポーツを楽しむことができる障害のある人を対象とした事業で、まずは定着化を図るために、曜日と時間を固定し、名称もユニバーサルから障害のある人に届きやすいように『障害者のためのスポーツ広場』としました。

 <矢澤>参加者からの口コミやこちらからの連絡が実り、回を重ねるごとに市内だけでなく遠方からの参加者も増えてきています。

 <櫻井>スポーツ推進委員も定期的に協力することで、スキルの向上だけでなく、参加者とも顔見知りになり良い関係を築いています。先日も街中で参加者の方とお会いし、声をかけられました。そういったことも地域の活性化にもつながっているのでしょうね。

障害者のためのスポーツ広場を立ち上げから支える武蔵野市スポーツ推進委員協議会の皆様

後列左から、

大谷委員、和田委員、高瀬委員

前列左から、

櫻井会長、土屋委員

 <久保田>利用者の中で事業に参加した方から「次いつ行くの?」と聞かれることもあり、「この日に武蔵野総合体育館に行くから、それまで〇〇を頑張ろう」と答えています。運動不足の解消だけでなく、日々の仕事や生活のモチベーションにもつながっているのだと思います。また、毎回全員を連れていくことはできないので、グループ分けして残るグループになった方に「なんで今日は行けないの?」と言われてしまうこともあるほどです。

 <江波戸>その話を聞いた時には、職員一同本当に嬉しくて涙が出そうでした。現在障害者のためのスポーツ広場は、固定の曜日と時間で実施していますが、より多くの方にスポーツに触れてもらうために、日中働いている方も参加できるような平日夜間や土日の実施を検討しています。

 <中野>体育館の半面を使用し、もう半面を一般利用者に開放することで、その様子を見た方々に関心を持ってもらえるようにしています。今後も一緒に事業を実施している仲間たちと課題を1つ1つ解決し、ゆくゆくは障害のある人もない人も一緒にいろいろなスポーツができる事業へと発展させていきたいと考えています。

障害者のためのスポーツ広場の様子

▶インタビューを終えて

 障害のある方々が楽しんで身体を動かせる場を作られただけでなく、今後の発展も考えておられる皆さんからのお話を間近で伺い、大きなエネルギーを感じ、こちらも熱い気持ちになりました。また、どの方も笑顔で話をする様子がとても印象的で、協会として微力ながらでも、一緒に事業を支えていければと感じたインタビューでした。

○障害者のためのスポーツ広場のイベント情報、詳細はこちらをご確認ください。

https://tokyo-shospo-navi.info/events/3120