特集東京2020パラリンピック競技大会 開会式

東京2020パラリンピック競技大会の開会式が、8月24日に東京都渋谷区のオリンピックスタジアムで行われた。今大会には過去最多の4,403名の選手が参加し、新たに採用されたテコンドー、バドミントンを含め全22競技539種目で競い合う。また、女子選手の参加数も前回のリオデジャネイロ2016パラリンピック競技大会(以下、リオ2016)の1,690名から1,853名へと大幅に増え、文字どおり史上最大規模の大会となる。



コンセプトは「WE HAVE WINGS」

 今大会の開会式のコンセプトは「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」。人生の逆風に立ち向かい翼を広げるパラリンピアンをイメージしたもので、勇気を出して翼を広げてみれば素晴らしい場所にたどり着けるという思いが込められたものだ。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からあいにく無観客での実施となったが、最初から最後まで、色彩豊かな力強い演出が印象的だった開会式の様子をお伝えします。


 オープニングは障害の有無にかかわらず公募で選ばれた100人のパフォーマーがスカイブルーの衣装に身を包みダンスを披露。カウントダウンから美しい花火が上がり、会場は一気に華やかな雰囲気に包まれる。続いて日本国歌斉唱では全盲のシンガーソングライター、佐藤ひらり(さとうひらり)氏が美しい声で歌い上げた。


オープニングで花火が打ち上げられると会場は一気に華やかになった

日本国旗ベアラー6名による日本国旗の入場シーン

 そして開会式のメインイベントである選手の入場行進が始まった。フィールド全体を空港「パラエアポート」に見立て、フィールド内には入場を終えた選手用に空港の待合室さながらに椅子が設置されている。アップテンポなクラブミュージックが流れると、いよいよ選手入場の始まりだ。


「パラエアポート」でのショー。パフォーマーが中央のプロペラを回して風を生み出そうと躍動する

 まず最初は難民選手団が入場し、その後は50音順に各国の選手団が続々とオリンピックスタジアムに集結していく。色とりどりの衣装に身を包んだ選手団、デコレーションに工夫を凝らした車いすに乗る選手、国のカラーに合わせた義足の選手など、各国・各選手がそれぞれの姿や方法で自分自身を表現しながら入場する姿は、まさに多様性の象徴だった。


日本選手団の騎手はトライアスロンの谷真海(たにまみ)と卓球の岩渕幸洋(いわぶちこうよう)が務めた

開会式では161の国・地域と難民選手団が一堂に会した

 入場行進中、スタジアムの2階席前列の表示板には開会式への出席の有無に関係なく、各国ごとに今大会に参加した全選手の名前が常に表示されており、選手たちへの敬意が感じられるものだった。また、選手団を迎え入れるスタッフ、ボランティアの笑顔も会場の明るい雰囲気を作り上げていた。

聖火の最終ランナーは若きパラアスリートたち

 開会式のクライマックスには、パラリンピック発祥の地とされるイギリスのストーク・マンデビルと日本全国約800ヶ所で採火された聖火がスタジアムに登場した。かつてのパラリンピアンから現在のコロナ禍で闘い続ける医療関係者らに受け継がれたその炎は、最終ランナーの3人へと引き継がれる。


 最終ランナーは、今大会でも活躍が期待される車いすテニスの上地結衣(かみじゆい)、2024年のパリ大会での活躍を目指すボッチャの内田峻介(うちだしゅんすけ)、パワーリフティングの森崎可林(もりさきかりん)。22時50分、3人が同時にステージ台に設置された聖火台へと点火すると、会場は大きな拍手に包まれた。


最終ランナーの手により聖火台に火が灯った

 開会式のコンセプトである「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」を最も象徴していたのが、式中に前編と後編に分かれた演劇パフォーマンス「片翼の小さな飛行機」だ。


 飛行機の滑走路をイメージしたフィールドを舞台に、車いすに乗った少女が演じる“片翼の飛行機”は「私なんか空を飛べるはずがない……」と下を向く。しかし、個性的な形をした飛行機の仲間が誇らしく飛ぶ姿を見たり、素直に悩みを明かしたり、仲間から励まされる過程で、少女は少しずつ前を向いていく。


片翼の飛行機を音楽で励ます役としてミュージシャンの布袋寅泰(ほていともやす)氏が登場

 そして最後には自分を支えてくれた仲間たちの声援の中で、少女は一人、大空に羽ばたいていった。その姿はまさに、前を向いてそれぞれの競技で輝き、パラリンピックという高みを目指し、さらにコロナ禍での1年延期という壁をも乗り越えてオリンピックスタジアムにたどり着いた各国の代表選手たちの姿と重なるものだった。


 途中から雨が降り出すあいにくの天候となったが、参加した選手、スタッフ、ボランティアなど、その場に居合わせた全員の笑顔に包まれた中で開会式は閉幕した。8月25日からいよいよ競技が始まる。各アスリートたちは各々の翼を存分に広げて自分を表現してくれるはずだ。


日本選手団主将の国枝慎吾(くにえだしんご)、副主将の浦田理恵(うらたりえ)らが選手宣誓を行った

 開催国の日本からは、リオ2016での代表団のほぼ2倍、大会最多となる254名が参加します。そして、東京にゆかりのある選手も大会最多となる80名が参加します。東京にゆかりのある選手のプロフィールや出場予定を以下の特設コーナーで紹介していますので、是非地元の選手や気になる選手を探してみてください。

 東京2020パラリンピック競技大会は、コロナ禍で1年延期となり、また、感染症拡大防止のため無観客での開催となりました。競技会場での応援は叶いませんでしたが、多くのおうちの観客席から選手の皆さんに是非エールをお送りいただければと思います。


<スポーツTOKYOインフォメーション内 東京2020大会出場選手関連情報>

「東京ゆかりの選手を応援しよう!」 

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(取材・文/(株)ベースボール・マガジン社、撮影/椛本結城(かばもとゆうき))