特集2021ジャパンパラゴールボール競技大会

「2021ジャパンパラゴールボール競技大会」が2月6日から2日間にわたり、千葉ポートアリーナで開催された。これまで国際的競技力の向上と選手強化、ファン拡大を目的として国際大会を開いてきたが、7回目を迎える今大会は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で海外勢の参加を見送り、日本代表の強化指定選手で構成した男女各2チームと男子クラブチームで争われた。なお、本大会は無観客で実施し、すべての試合はオンラインで生配信された。


今大会は海外チームの参加を見送り、無観客で実施された

女子の天摩「反省点が見つかった。私たちはまだ強くなれる」

 ロンドン2012パラリンピックで団体競技として史上初の金メダルを獲得し、東京2020パラリンピックで2大会ぶりの優勝を目指す女子日本代表。AとBの2チームに分かれて対戦し、Bチームが1-0で勝利した。


強化指定選手が2チームに分かれて対戦した

 12分ハーフの前後半を終えて、両チームとも無得点。延長戦でも決着がつかず、サッカーのPKのように1対1で投げ合うエクストラスローに突入した。それぞれ5人が一巡しても試合は動かず、得点した時点で試合終了となるサドンデススローにもつれ込んだところで、Bチーム2人目の小宮正江(こみやまさえ)(アソウ・ヒューマニーセンター)がゴールを決めた。

 日本代表のエースとしてパラリンピックでの活躍が期待される欠端瑛子(かけはたえいこ)(セガサミーホールディングス)は、「(出場したAチームでのプレーは)コースに投げて相手を押すことができたけれど決め手に欠け、あと一歩というところ。課題が見えた」と話した。


女子Aチームの欠端瑛子は、回転投げなど力強い投球で仲間を引っ張った

 2日目は、A・B両チームがそれぞれ男子クラブチーム「Tsukuba-tech」と対戦。Aチームは後半序盤まで5-0とリードするも、残り1分半で3失点を喫し、相手のミスによる5回のペナルティスローのチャンスでは1回しか決められなかった。勝利はしたものの、天摩由貴(てんまゆき)(マイテック)は「大いに反省。世界という上のステージで戦うのに、課題が残った」と、悔しさをにじませた。

 一方、Bチームは9-8と辛勝。試合終了間際に投球ミスで窮地に追い込まれ、サドンデスの延長戦にもつれ込む苦しい試合展開に。センターを務めた浦田理恵(うらたりえ)(アソウ・ヒューマニーセンター)は「相手ボールの緩急やスピードに合っていなかった。私たちの強みはディフェンス力なのに発揮できなかった」と反省を口にした。


横っ飛びでゴールを死守する女子Bチームのセンター・浦田理恵

 ゴールボールは1月に予定されていた日本選手権を含め、国内外の大会が相次いで中止になっており、女子は昨年3月のカナダ遠征以来の実戦の場となった。天摩は「緊急事態宣言下で大会を開いていただけたことはとてもありがたく思う」と、関係者の尽力に感謝の気持ちを述べ、「久しぶりの試合で緊張感を感じながらプレーができ、合宿で積み重ねてきたものが少しずつできつつあると感じた。まだ強くなれると思うので、東京2020パラリンピックでの金メダルを目標にやるべきことをやっていきたい」と話し、前を向いた。ベテランの小宮も、「金メダルを獲るために自分の限界まで挑戦していきたい」と、今夏の大舞台に向けて気を引き締めていた。


天摩由貴は「コロナ禍での大会開催に感謝している」と話す

男子はAチームが2連勝! 佐野、宮食ら若手選手が成長中

 パラリンピック初出場でメダル獲得を狙う男子日本代表もAチーム・Bチームに分かれて2試合を戦った。第1戦では、代表内定選手4人を擁するAチームが10-3で勝利。試合はBチームが先制するが、Aチームはボールの位置を察知する高いサーチ力と抜群のコントロールを発揮した佐野優人(さのゆうと)(順天堂大)が6ゴール、身長182㎝の恵まれた体格から繰り出す威力ある投球が持ち味の宮食行次(みやじきこうじ)(サイバーエージェントウィル)が4ゴール決めるなどし、逆転勝ちした。

 続く第2戦もAチームが5-1で連勝。Bチームに先制を許すが宮食が同点弾をマークして1-1で折り返すと、後半から出場した佐野が2点を追加し、突き放した。


ゴールを決め、ガッツポーズを見せる男子Aチームの宮食行次(写真右)

 2試合ともにキレのあるパフォーマンスを見せた佐野は、「昨年と比べても成長していると感じている」と手ごたえを感じた様子。東京2020パラリンピックに向けては「金メダル獲得のために日々努力していきたい」と続けた。また、宮食も「一日一日を大切に過ごし、誰より成長することを目標に頑張りたい」と、力強く語った。


男子Aチームの佐野優人は2試合で8ゴールを決める活躍を見せた

 今季の男子代表は予定していた外国チームとの合同強化の機会が失われ、体格とパワーに勝る海外勢の対策は課題として残ったままだ。だが、長期間にわたる合宿で徹底的に戦略や連携を磨いており、とくに今大会は25歳の宮食、20歳の佐野ら若手選手の成長が感じられた。

 ゴールボール日本代表の市川喬一(いちかわきょういち)総監督は、「若手は積極的かつ終始安定したプレーができていた。攻守の素早い切り替え、世界と比べて身体が小さいからこその俊敏さを活かした移動攻撃などが日本の強みになる」と評価し、東京2020パラリンピックでの金メダル獲得という誓いを新たにしていた。

指揮官が女子内定選手の再選考について言及

 市川総監督は昨年3月に東京2020パラリンピックに内定した女子代表選手6人のうち、半数を見直す方針を明かしている。会場で会見に臨んだ市川総監督は、内定自体は維持していることを強調したうえで、「再選考の可能性は昨年3月下旬に東京2020パラリンピックの1年延期が決まった時点で、選手に通達している」と話し、「延期後はベテラン勢の一進一退が続いており、(若手、中堅、ベテランの)パワーバランスに変化が生じている。延期の影響は計り知れない。若手がどこまで伸びるか、ベテランがどう奮起するか、今大会含め代表合宿の状態を見て、3月下旬か4月上旬の理事会で決めたい」と、改めて説明した。

 なお、男子は前述の通り若手を中心に急成長しており、市川総監督は「男子に関しては1年延期はプラスに働いていると考えている」と、東京2020パラリンピックに向けて期待を込めて話した。


取材に応じるゴールボール日本代表の市川喬一総監督

取材エリアでは飛沫防止のパネルを設置するなど感染症防止対策が取られていた

(取材・文/MA SPORTS、撮影/植原義晴)