みんなの声岡崎愛子さん

みんなの声

岡崎 愛子さん(アーチェリー)

写真提供:本人

~プロフィール~

名前:岡崎 愛子(おかざき・あいこ)

生年月日:1986年1月10日

出身地:大阪府

所属:東京都身体障害者アーチェリー協会
   株式会社ベリサーブ

クラス/W1(四肢の障害により車いすを使用)

障害/頸髄損傷

年齢:34歳(2020年5月現在)

 今回は、アーチェリーの注目選手・岡崎愛子選手にインタビューを行いました。昨年6月、オランダで開催されたパラアーチェリー世界選手権のW1ミックス種目で3位となり、東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)の出場内定を決めました。インタビューでは、アーチェリーとの出会いや東京 2020大会への意気込みなどを伺いました。

―大学2年のときJR福知山線脱線事故に遭遇し、奇跡的に一命をとりとめましたが、頚髄損傷で首から下にまひが残り車いす生活となりました。アーチェリーを始めたのはそれから8年後でした。アーチェリーとはどのように出会ったのですか?

 2013年の冬、東京都障害者総合スポーツセンターが年2回開いているアーチェリーの体験会に参加したのがきっかけです。大学のときにアーチェリーをやっていた母の勧めでした。体験会では、用意された弓がリカーブ(滑車のついてない普通の弓)だったこともあり、弓を引くことができませんでした。引けないから楽しいとか、面白いと感じることはなかったのですが、私と同じような障害でやっている人もいたし、やるからにはもちろん上を目指したいと思いました。ただ、他の人と戦えるレベルにまでなれるかどうかは正直不安でした。

―アーチェリーを始める前には、何かスポーツをやっていましたか?

 もともと体を動かすのは大好きで、小学校はテニス、中学校はソフトボール、高校に進学するとフリスビードッグに夢中になりました。フリスビードッグには上級のクラスから中級、ビギナーなど、いろいろなクラスがあり、全国各地で毎週のように大会が行われていいます。私は、ある地区大会で優勝したこともありましたし、大会に出ること自体も楽しかったです。他の選手との交流の機会も楽しみの一つでした。なので私はスポーツをやるのであれば、大会に出たりしながら交流や活動を広げていきたいなと思っていました。

―2016年から本格的に競技として取り組み、昨年(2019年)オランダで行われた世界選手権では初出場にして銅メダルを獲得されました。一見、順調のように思えるのですが、それまで苦労したのはどういうことでしたか?

 最初の頃は、なかなか自分に合う弓を見つけることができませんでした。基本的に一般のアーチェリーとルールは同じですが、パラリンピックのアーチェリーでは、弓のセッティングを変えたりいろいろな装具を工夫したりして使用することができます。私の場合、ポイントは2つありました。(滑車により小さい力でホールドすることができる)コンパウンドボウは最初から使っていましたが、矢を放つときに使用する「リリーサー」は、自分に合うものがなかなか見つかりませんでした。そこで最終的に指が動かなくても使用できるリリーサーに変えたことがポイントでした。もう1つは、弓を打つときに体のバランスを取るために「ベルト」をするのですが、私は腹筋と背筋の機能がないので、弓を構えた時に体が前方に倒れやすいのです。ベルトの位置を調整したり、(ベルトを)お腹に巻くのではなくリュックを背負うように肩から縦に通し車いすの背もたれと体を固定してみたりと、自分が一番打ちやすいポジションを確立することにすごく時間がかかりました。

写真提供:本人

―競技歴わずか3年で、パラリンピック出場を射止めました。急成長を遂げた要因は?

 自分の打ち方が確立できたことと、初心者用の弓から競技用の弓に替えたことが大きかったですね。弓は初心者用と競技用では性能が全然違います。弓がかなりしっかりしたので、矢のばらつきが抑えられました。

―アーチェリーでは集中力をいかに保つかも大事だと思います。試合で集中するためにやっているルーティーンなどはありますか?

 私の場合は、「特に何もしない」ことです。「試合前にこれをする」と決めてしまうと、それができなかったときにすごく試合に臨みにくいので、ルーティーンは決めないようにしています。

―アーチェリーの魅力とは?

 工夫次第で、選手としてかなりのレベルまでいけるところがアーチェリーの魅力です。 四肢まひのある人は競技自体を諦めてしまう人も多いのですが、ぜひアーチェリーに挑戦してほしいと思います。

 体幹がなかったり障害があったりすると、アーチェリーをする姿が想像できないかもしれませんが、工夫すればやり方があると思います。だからこそ、できるかわからないと思っている人も始めてもらえたらうれしいですね。

―現在の競技環境について教えてください。

 所属している株式会社ベリサーブには、私以外に現在7名のアスリートがいますが、アスリートは基本的に練習と大会の参加が本務となっています。通常は、平日3日と土日に都内トレーニング施設で練習しています。

―お休みの日はどのように過ごしていますか?

 音楽を聴いたり漫画を読んだりして過ごしています。Superflyが好きで、よく聴いています。コンサートにも行きますよ!

―新型コロナウイルスはスポーツ界にも大きな影響を与えていますが、現在(2020年4月取材時点)の状況はいかがですか?

 今は、新型コロナウイルス感染症の影響で練習できない状況です。ナショナルトレーニングセンター、東京都障害者総合スポーツセンター、区のアーチェリー施設など、どの射場も閉鎖されています。この状況なので大会は全部白紙です。しかし、こればかりはどうしようもないこと。自分たちでは変えられないことなので、その時々の環境や状況に合わせて、今自分たちができることをやるしかないと思っています。そこで、自宅でできる近射用マットによるトレーニングをしたり、フォームチェックや筋力維持のためのトレーニングをしたりしています。ずっと同じ集中力を保つということは難しいので、今は割り切って休むときだと気持ちを切り替えています。

写真提供:日本身体障害者アーチェリー連盟

―昨年の世界選手権で東京2020大会への出場が内定し、3月には日本身体障害者アーチェリー連盟から、内定を維持することが発表されました。改めて、東京2020大会に向けての意気込みをお願いします!

 よく目標はメダルですかと聞かれますが、私が出場するW1は本当に何が起こるかわからないクラスです。実力が下位の選手がいきなり勝つこともあり、上位の選手が簡単に崩れることもあります。誰にも優勝のチャンスはある、練習の成果が出せれば結果は必ずついてくると私は信じているので、これまで同様、中身の濃い練習を積み重ねて臨みたいと思います!

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