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ロンドンパラリンピック

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LONDON PARALYMPIC GAMES

特集第1弾 ロンドン2012パラリンピックレポート

“To use the power of the Games to inspire lasting change(大会の価値を未来へつなごう)”

ロンドン2012パラリンピック競技大会(第14回夏季大会 通称:ロンドンパラリンピック)の大会ビジョンです。

8月29日から9月9日の12日間にわたって開催された今大会。小さなお子さんからおじいさんおばあさんまで、たくさんのサポーターが連日イギリス・ロンドンの各会場を埋め尽くし、選手のパフォーマンスに、時に息をのみ、時に大きな歓声で選手を鼓舞しました。各競技で熱戦が繰り広げられ、そして世界記録は次々と更新され、前回の北京大会以上にハイレベルな戦いに。日本選手団は、北京大会のメダル27個(金5、銀14、銅8)には届かなかったものの、計16個の(金5、銀5、銅6)のメダルを獲得しました。またその中で、東京都にゆかりのある(在住・在勤・在学・出 身)5選手がメダルを獲得しています。

今回のロンドン2012パラリンピック競技大会で現地を訪れた、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会藤田勝敏氏のレポートをお届けします。

ロンドンパラリンピック レポート

公益社団法人東京都障害者スポーツ協会
連絡調整担当室長 藤田勝敏

開催国イギリス・ロンドン

パラリンピックのロゴが入ったシャツに身を包み、ユニオンフラッグを振りながらの天にまで届きそうな大歓声。自国の選手が出場している時のイギリスの大応援には戸惑いすら覚えました。陸上競技のレース中には、「イギリスの選手が走っています。さらなるご声援を!」という場内アナウンスが。日本ではそのようなアナウンスをするにはためらいが生じてしまうだろうな…と妙に冷静に思った次の瞬間、まさにスタンドが揺れるほどの大声援。また、その大応援を送るスタンドの観客は連日満員でした。

障害者スポーツの国際大会で、これほどまでにスタンドを埋め尽くす観客を見たことがあったでしょうか。開会式だけではなく、連日どの競技も満員なのです。テレビのスポーツニュースでしばしば目にする、イギリスのサッカー・プレミアリーグのスタンドにも匹敵するような光景には、ただただ感動しました

陸上競技場
陸上競技場 応援の様子

日本人金メダリスト

今回、現地では陸上競技、水泳、車いすバスケットボール、柔道、卓球、パワーリフティングを観戦しました。過去、陸上競技は選手団スタッフとして何度か帯同しておりましたが、今回それ以外の競技も観戦できのは、自分にとってかけがえのない財産となりました。

その中でも、柔道で正木健人選手が金メダルを獲得する瞬間を、運よく目の当たりにすることができました。ロンドンパラリンピック最初の日本選手金メダル、さらに“一本”での鮮やかな勝利。その最高の場面においても、感情を爆発させることなく控えめなガッツポーズで喜びを表現した正木選手 の姿が印象的でした。

柔道表彰式
柔道表彰式のオーロラビジョン

東京都ゆかりの選手の活躍

また、東京都ゆかりの選手たちもロンドンの地で目覚ましい活躍を見せました。

今回の日本選手団最年少、17歳での出場を果たした若杉遥選手は、ゴールボール女子チームの一員として、日本のパラリンピック史上初となる団体競技での金メダル獲得という快挙を成し遂げました。さらに水泳の女子100m背泳ぎS11(視覚障害)ではアテネ大会で銀メダルを獲得していた秋山里奈選手が、8年越しで悲願の金メダルを手にしました。 水泳では他にも、木村敬一選手がSB11男子100m平泳ぎ、S11男子100mバタフ ライ(視覚障害)で銀と銅、鈴木孝幸選手がSM4男子150m個人メドレー、SB3男子50m平泳ぎ(機能障害)でともに銅と、それぞれ2つのメダルを獲得。さらに小山恭輔選手がS6男子50mバタフライ(機能障害)で銅メダルに輝きました。

メダルを獲得した5選手は、東京都の「都民スポーツ大賞」を、金メダルの2選手は加えて「東京都栄誉賞」を受賞。10月5日には都庁都民広場で表彰式が行われ、先のオリンピックでメダルを獲得した東京都ゆかりの選手とともに、多くの都民のみなさんの祝福を受けました。

これからのパラリンピックに向けて

今大会は日本でも、テレビやインターネット等で日々情報が発信され、多くの人たちが障害者スポーツを知り、応援することを可能にしました。日本選手団の活躍を観戦し、メダル争いだけでない、それぞれの選手が見せる一瞬一瞬のシーンに、たくさんの人たちが胸を熱くしたはずです。“To use the power of the Games to inspire lasting change(大会の価値を未来へつなごう)”

選手はもちろん、それを支える人たち、また大会をご覧になった方々が感じたすべてのことが“大会の価値”です。

2020年の開催に向けて、オリンピック・パラリンピックを招致している東京。競技場の雰囲気、選手が躍動する姿から得られる感動や興奮が、東京で開催できた場合、どのような表現になるのかは未知数です。しかし、何か感じられるものがあり、それぞれの財産となりうることは間違いないと思うと同時に、今回の私のように何かを感じていただきたいし、財産としていただきたいと思います。今回、ロンドンパラリンピックを観戦することがで きて、改めてそのように感じました。スポーツには、そんな力が秘められています。

選手村のオブジェ
ロンドン2012パラリンピック競技大会 メダル獲得一覧

◽️◽️◽️は東京にゆかりのある選手(在住・在勤・在学・出身)

競技名 金メダル 銀メダル 銅メダル
陸上競技 3
男子200m T52 伊藤智也
男子400m T52 伊藤智也
男子800m T52 伊藤智也
1
男子5000m T11 和田伸也
自転車 1
男子ロードタイムトライアル C3 藤田征樹
ゴールボール 1
安達阿記子
浦田理恵
欠端瑛子
女子
小宮正江
中嶋茜
若杉遥
柔道 1
男子100kg超級 正木健人
水泳 2
男子100m平泳ぎ SB14 田中康大
女子100m背泳ぎ S11 秋山里奈
2
男子100m平泳ぎ SB7 中村智太郎
男子100m平泳ぎ SB11 木村敬一
4
男子50mバタフライ S6 小山恭輔
男子100mバタフライ S11 木村敬一
男子50m平泳ぎ SB3 鈴木孝幸
男子150m個人メドレー SM4 鈴木孝幸
車椅子テニス 1
男子シングルス 国枝慎吾
合計 5 5 6